山と雪と写真のブログ


YAMA Skiing in Japan 発売のお知らせ

 

YAMA Skiing in Japan」という

エッセイ写真集を発売しました。

 

海外が注目する“日本のバックカントリー・シーン”を日本語と英語の併記というバイリンガル・スタイルで紹介した本です。

 

書籍としての出版を、既存の日本の出版社さんにお話を数年に渡って続けましたが、

バイリンガルという性質上、販売経路が難しいということで、

どちらにもよいお話には繋がりませんでした。

 

そんな時、普段からお世話になっているアートディレクターの方から

お声がけいただき、二人だけで出来る範囲で、さらに面白いものを。

ということで、今回のキンドルでの発売とさせて頂きました。

 

十数年撮りためて来た、白馬、立山の写真を、

気楽でラフなエッセイとともに、お楽しみください。

 

ご購入はこちらから。

 

 

さっそくこちらのアウトドアジャパン誌の表紙に写真を使って頂き、インタビュー頂きました。

 

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書評・Diggin' Magazine 理由のない土地

年末なのに滑りに行けない葛藤を文字によって克服する滑り手応援企画・第三弾。

 

動画はおろか、写真すらない、

ライターの腕、文字という人類最古のコミュニケーションツールだけで勝負する時代へのレジスタンス。

 

 

今回はね、自分が書いた記事を自分で書評するっていう前代未聞のトライアウトです。

 

何故って? それは誰も感想言ってくれないからですよ!

(正確には編集長とインタビューさせてもらったライダー各位からは頂きましたけど)

 

 

 

さて、10月のある日、別件の取材で大山に行き、

その海と山の近さに魅了され、山の上で海の幸を食べるという、

焼肉屋で寿司をオーダーするような不思議なマッチングに魅了された私は、

帰ってきてからも、大山が気になって、気になって、

 

太平記を歩くという田中澄江が書いた本の大山に関するストーリーを、

四谷三丁目の交差点にあるなか卯で読んでいたんです。

 

そしてたら、突然、Diggin' Magazineの編集長から電話がかかってきて、

こういうんです。

 

Hey ユースケ、What's up 今ドコだい? ところで近々、ダイセンに行かないかい?

 

いや、正確にはこんなにフザけた言い方じゃなんですけどね。。。

この編集長はこういうラフな雰囲気で、時々とんでもない依頼をされるんです。

 

実はこの編集長とは、Diggin' magazineを創刊される前からの、とても長いつきあいで、

その始まりは、奇蹟とも呼べるような、こんな感じのはじまりだったんです。

 

2000年代のはじめに、南米アンデス山脈に滑りにいったワタシは、

それをどこかスノーボード雑誌に取り上げてほしくて、

ウエアを提供してもらっていたメーカーの担当の〇〇さんに、

 

Free run って雑誌の担当者、何方か知ってませんか?」

 

と聞いたのです。当時はまだパイプ全盛の時代で、

まだスロープスタイルも出始めたばかりの頃。

当然フリーライドやバックカントリーなんて言葉も日本では流通していない時代でして、

そんな中、アンデス山脈滑った記事を取り扱ってくれるスノーボード雑誌など、なかったわけです。

 

そんな中、Free run ならその名前からして可能性があるのでは?

と思ったワタシは、一縷の望み(いちるののぞみ)をかけて、

頼んでみたのでした。

 

そしたら、スノーボードを全くされないその〇〇さんは、

 

「お、知ってる知ってる、つい昨日話したばかりだよ。あそこは、そういうの興味あるから、バッチリだよ。

これこれここにいけば、こういう人がいるから、こういう風に頼めば、バッチリだよ」

 

と案外あっさり、掲載への道筋を示してくれました。

 

 

その後、その担当の方は、まだうら若き少年に、

コンコンと業界の慣わしを含め企画を持ち込む際の手順を親切テキトーに、指示してくれたのです。

 

そして、当日、喜び勇んで編集部に出向いていったわけですが、

予定の時間の五分前に到着して、お目当てのドアを探しあてたところ、

 

そこにはなんと、

 

「Snowing編集部」

 

とデカデカと書かれているではないですか。

 

 

参ったなー、どうしようかなー

でも、時間だし来ちゃったし、

 

Snowingなんてバリバリフリースタイルじゃん。

きっとこの人たちアンデスとヒルナンデスの違いもわかんないよー。

(嘘。ヒルナンデスは2011年より放送開始。)

 

 

とドアの前で独り悩んでいたのですが、結局時間になり、

 

 

まいっか、仕方ない。あえて気付かないフリ(AKF)してプッシュしよう、

 

 

とドアを叩いて、出会ったのが、当時からやり手の編集者として聞こえていた

現Diggin’ Magazine編集長なのでした。

 

そして、恐る恐る今回のトリップの内容を話したところ、

不機嫌そうな編集長の第一声は、案の定こうでした。

 

 

「うーん、〇〇さん、なんで俺んとこ紹介してきたのかなー」

 

 

ですよね~。

 

 

僕もなんで来ちゃったのか、わからないですよ~。

 

 

山では道迷わないんですけどね~、まだ社会に慣れてないもので、すいません~。

 

 

でもね、この編集長のすごいところは、

いくらそのストーリーがスノーボードのメインストリームから外れていたとしても、

 

そこに独創性とユーモアがある限り、

特集は組んでくれないけれども、

なんとか記事にはしてくれるんです。

 

この時もね、こんな感じだったんです。

 

「え?南米?アンデス山脈?6000m?赤道直下でも滑ったの?バカだね~」

 

 

そして、それから15年くらい後の10月、

 

 

「大山にさ、すんげえアプローチ遠いところから、わざわざ登って、いかついライン滑ってるヤツらがいるんだよ。

とにかく遠いんだよ。なんでわざわざあんなとこから登るのかわかんないだけどさ、

とにかくよくわからないから、話きいてきてよ。」

 

っていう同じノリで、今度はワタシにその「大山の凄いけど理由が不明なクルー

の生態調査の依頼をされてきたわけです。

 

(注・実際はもう少し、理路整然とこのクルーの偉大さを話してました)

 

 

 

ふー、時間になりましたので、続きは次回。 

 

(おそらく来年のUPになると思われます)

 

え? まだ本題に入ってないじゃん!?

 

 

でも、このクルーの大山へのトライの過程の長さに比べたらそんなこと言ってられないんすよ。

 

 

それくらい未知の道なんです。

 

 

 では、よいお年を。

 

 

YH

 

 

 

スプリットボード講習会 Ogasaka Masters of Splitboard


雪山を縦横無尽に遊びためのスプリットボード。すでに使っている人も、これからの人も、意外と知られていない、効率よいスプリットボードの使い方があります。ちょっとしたコツをマスターすれば、さらに安全に、さらに楽に雪山を楽しめるようになれます。コーチは、オガサカライダー・レジェンドデモの会田二郎と、オガサカライダー・山岳ガイドの廣田勇介、が担当いたします。

 

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一日写真展のお知らせ

 

スキー雑誌「FALL LINE」に三年間に渡って掲載された白川郷周辺でのフォト・エッセイ。

 

・North East of EDEN 白川郷第一幕

・36 Hrs in the paradise 白川郷第二幕

・白山 Northern Traverse 白川郷第三幕

 

これら三年間の写真をまとめた写真展を一日だけ開催いたします。

 

静岡県大井川上流域でとれた豊かなジビエ料理を楽しみながら、

雪山の話題に花を咲かせつつ、

ゆったりと美術館で過ごすような時間を楽しみませんか?

 

ライダーの鈴村新、旭立太も参加します。

お近くの方も遠くの方も是非、いらしてください。

 

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◆日時◆

12月10日(日)の一日限定開催

10:00AM~16:00PM

 

◆写真

廣田勇介撮影によるA4サイズのプリント約20点(販売あり)

330photogalleriesによるサーフ写真数点

 

◆場所◆

食堂カフェ樵 

http://kikori-shokudou.com

 

(住所・島田市横岡579-1 MAP  https://goo.gl/maps/RoLsB9VvWJF2

 

新東名島田金谷IC下車国道473号線を左折、川根方面へ

直進約1分。国道1号線バイパス、大代IC下車国道473号線を川根方面へ、直進約5分。

 

JR金谷駅から、車で約15分。

JR島田駅から、車で約25分。

 

 

◆エントランス・フィー

大人2000円 子供1500円

(ウェルカムドリンク+小さなジビエ料理のテイスティングプレート付き)

予約不要ですが、料理は無くなり次第終了です。

 

★小さなジビエ料理のテイスティングプレート★

 

  ・南アルプス産 鹿のロティ

  ・南アルプス産 鹿の赤ワイン煮込み

  ・南アルプスの高山植物の花粉を集めた自家養蜂、蜂蜜のチーズケーキ

  ・バナナブレッド

 

★ドリンク★

   ・コーヒー  ・カフェラテ

   ・紅茶      ・ティーラテ

   ・緑茶ラテ  ・梅ジュース

   ・ワイン

 

 

書評・FALLLINE2018 旭川オートルートを行く

 

 憂鬱な月曜日を乗り切るための滑り手応援企画・雑誌・FALLLINEの書評、第二弾。

 

「旭川オートルートを行く」

文=浅川誠

写真=佐藤圭

 

 まずね、この二人の組み合わせが、間違いないんですよ。

 

まさか!」というような聞いたことのないアイデアがあって、

それを実現できるスキルのある滑りてと写真家と、あと誰か気の利いた文章の書ける人物が揃う。

 

ライダーと写真家の組み合わせの相性でね、

そのタッグの性格で、できあがった企画の良し悪しが決まりますからね。

 

この佐藤圭というカメラマンは、この「まさか!」という聞いたことのないアイデアを次々に送り出してくる、

アイデアが枯渇しがちな業界においてまさに企画のオアシスというべき人なんです。

 

 

だいたいの滑り雑誌の企画は、いくつかのパターンが考えられまして、

カメラマンも滑り手もそれぞれ得意とするストーリー、あるいは意識しないけどそっち系になってしまう

ストーリーがありまして、それは下記のようなものが考えられます。

 

 1・冒険的なストーリーで売る 

 

   例・「~ライン初滑降・極限の山を攻める」あるいは「世界の果てまで行ってス記ー」など、

      スティープや僻地でのスキー記録。たいしたターンが出来なくても、

      世界の果て感のあるロケーションで3ターン以上すればOK。

      山を攻められるはずはないが、刺激的な語感が重要の企画。

 

 2・身近で共感できる、あるいは心温まるストーリーで売る

 

   例・「ジモティーズ&ローカルズ がゆく」あるいは「索道員(りふとや)」など

     普段読者が滑っているようなエリアの知られざるストーリーやハートウォーミングなストーリーで、

     共感をさそう。読み終わったあとにはある種の「ほっこり」感が期待される。

 

 3・HOW TOあるいはガイドブック的な要素で売る。

 

          例・「オシャレ小枝(小枝→☓、小技→◯)でゲレンデジャック!」あるいは

      「パウダーガイド的~山放浪記」もなども同種。

      共感ではなく、読者の実利にもとづいた鉄板企画。

      なお、コアな読者をもつイメージが優先される媒体において、

      この企画を一度でも採用すると「魂を売った」「商業主義に走った」など、

      各方面から厳しい指摘をうける。

   

 4・インタビューその他、上記のミックス複合企画で売る。

 

    

  

など、大きく分けて4種の企画が考えられます。

 

で、話を元に戻すと、この佐藤圭というカメラマンは、上記4つのどのタイプでも、

オールマイティーにこなし、そしてその中に、必ず一つは独創的なアイデアを持ち込んでくるんですね。

 

FALLLINE 2015年の「1970年の北海道礼文島」なんてのは、まさに忘れられない記事で、

この人がいかにスキーの歴史に興味を持って、ある種のリスペクトを払っているか伝わってくるんですよ。

 

映像だけで育った最近の若いライダーたち(そんな世代がいるのか不明)がね、

何をやっても80年代の焼き直しかストーリーのないビジュアルだけになってしまうのは、

こういう風に、歴史に問うことを忘れているからなのですよ(完全に批評家きどり)

 

 

 

アルパインクライマーの山野井泰史さんがね、こう言っていたんです。

 

俺は池田常道さんの次に(山の)本を読んでいる

 

 

池田常道さんという方は元『岩と雪』編集長で、日本の山岳界の知性を代表する方なんです。

山野井泰史さんは、その人の次くらい本を読みまくっているから、

歴史を知っていて、次にどのような進歩が考えられるか、常日頃から考えていて、

あれだけ独創的な登攀が出来たのですね。(もちろん、ご本人の神がかった信念と努力も)

 

 

 

話がまったく本題から反れましたが、

この旭川オートルートを読んでいて最も感銘を受けた文はですね。

 

 

「誰かに認めてほしいと思ったこともなく、(中略)生きているとが実感できるのがスキーだ」

                                  

                                      by 浅川誠

 

の一節なんです。

 

これはね、大袈裟でなくて、読んでいて涙がでましたよ。

 

この旭川誠という人には、一度しかお会いしたことがなく、

それも、佐藤圭氏がはじめる予定のバックパッカー(以前は文房具屋件おもちゃ屋だった)で、

ビールを飲みながらホコリ被った店内でTAMIYA模型のデッドストックを一緒に探す、

という訳のわからない時間を過ごしたことしかないのですが、

その短い時間の中でも、ゴールドラッシュのように目を輝かせて模型と向き合う浅川氏をみて、

この人は筋金入りの少年だ!と思いましたね。

 

 

またまた脱線しましたが、

そう、感銘を受けた彼の一文です。

 

 

忘れがちになりますけど、

人はね、誰かに認めて欲しくてスキーをする訳ではないんです。

 

SNSの登場によって、訳がわからなくなってますけど、

スキーっていうのは自分のためにするものじゃないですか。

 

 プロになると、雑誌のためとか、スポンサーのためとか、生活のためとか、

社会の関わりで止むをえぬ事情がある訳ですが、

それでも、誰かに認めてほしくてスキーをするようになったら、

 

それは地獄なんですね。

  

これは、何もプロだけではなくて、週末の愛好家の方にも言えるんです。

雪山に行くのが、いつの間にかSNSでイイネをもらうためになったら、それは、苦しいじゃないですか。

 

スキーっていうのは、もともとが消費活動(スキーを滑ると作物が育つ訳ではない)なわけですから、

せめて、我々の中では、滑り終わったあと本来は誰かと共有しなくても、

満足するものであったらいいなと思うのです。

 

別にSNSやその憂鬱な機能であるシェアがNGだといっている訳ではなく、

その発想と順序がポイントかと。

 

この浅川誠と佐藤圭というコンビは、

その順序を踏み外すことなく、はじめは心底楽しみながら、そして最後には、

 

「決してまともな休日とはいえない長い一日が終わった」

 

と締めくくっているように、本人も最後はよくわからなくなりながらも、

実はその写真から、出処の不明な、ある種の清々しさが伝わってくるんですね。

 

それはP74のリフト券を買うのも、待ちきれないような浅川誠の後ろ姿や、

P77の厳寒の旭川を家路につく愛車の後ろ姿から伝わってくるものなんです。

 

こういった感覚が、少年の日を思い出させてくれるんです。

 

 

 

 

まあ、色々好き勝手書きましたけど、

 

来るべき冬の一日の終わりには、

 

P77の浅川誠の愛車のように、最後は訳わからなくなりながらも、

クタクタになるほど滑り倒して家路につけたら、

 

それは幸福な一日に違いないですよ。

 

みんな本当は、そういう思いがしたくて、

何かに夢中になるんじゃないかとさえ、思うんです。

 

 

YH